今日の学びは「コンサル思考も心得も『才能』ではなく『濃い技術』」
- コンサル入社後の3年間をイメージし、1年目・2年目・3年目でおさえるべき99個のテーマを対比形式(=VS形式)で整理。1テーマを数ページで解説。
- 次の4年目でおさえるべきテーマを(さわりとして)5つ追加
- 講義形式(=楽しめる、記憶に残る文章)で書かれており、頭に残りやすい工夫あり
【学びレベル】
YouTube「考えるエンジンちゃんねる」で有名な元BCGコンサルタントの高松智史さんの本です。話し口調で書かれており、講義を受けているような感覚で「濃い技術」が学べる貴重な本です。
こちらの動画では、高松智史さん自身が今回取り上げた本について内容紹介しています!
早速 この本の気になった箇所についてあげていきましょう!
「答え(返事)から、質問にかえってこれるか?」をチェックする。
本文34ページ
「答えから質問が想像できるか否か」、それによって論点(質問)に答えているかがチェックできるという意味です。テーマ004「まず論点(質問)に答える VS 思いつくままに話す」に出てくるポイントです。
みなさんも普段出ている会議のやり取りで気になりませんか?聞かれている内容に答えているようで、論点がずれている場面に。
私が個人的に気になってしまうのは、講演の最後にあるQAのやり取りです。聴衆が質問をして講演者が答えるのですが、「それって本当に聴衆の質問への答えになっている?」と耳を疑ってしまうやり取りの多いこと。
その検証方法が上記の引用で確認できるって言われてみれば、「なるほど、そうか!」と思うのではないでしょうか。しかし、これを言葉で説明できるのは、高松さんが突き詰めて考えたこそではないかと思うのです。(少なくとも私は「思ったことを話すんではなくて、私が聞いたことにちゃんと答えてよ!」としかこれまでは言えなかったです。相手が何回も論点ズレしてしまう時は、この概念で説明できていれば腹落ちしてくれたのではないかと反省しています。)
プロ・コンは「評価基準」が埋もれてしまっている。
本文65ページ
一番大事な「評価基準」が埋もれている!
これはテーマ013「評価基準・評価結果 VS メリット・デメリット」で書かれていたポイントです。
私はプロ・コン(メリ・デメ)で評価したつもりになっているスライドを見せられたとき、いつも取り扱いに困っていました。
比較対象の一方の「プロス(メリット)」が、もう一方の「コンス(デメリット)」に否定形のかたち(=裏返し)で書かれていることが多く、評価のしようがないケースが多いのです。でもなぜダメなのか、どうやったら改善できるのか、私自身は言葉で説明することできていませんでした。
評価する場合はまずは「評価基準」を決め、それぞれの「評価基準」で比較対象を評価していく。
このことによって、評価結果が出せるということです。
言葉にして頭で考えると当たり前のことですが、このことを平易な言葉で表現しきっているところが、この本の真骨頂だと思います。
そして、1人でやることと言えばこの「考える」か「描く」になります。
本文120ページ
その際、最大生産性を生むために大事なことがあります。
それは、「考える」と「描く」時間を分けること。
決して混ぜてはいけません。
テーマ031「『考える』と『描く』を分ける VS 考えながら描く」の一節です。
スライドで資料を作るとなると、いきなりPowerPointを立ち上げて、スライドを作りながら「あーでもない、こーでもない」と時間をかけて考えている人は多くないでしょうか?
「考える」ことと「描く」ことを一緒にやると、それぞれに集中できず時間だけが過ぎていくんですよ、これが。そして、内容についてしっかり考えきれていないのに、スライドの美しさに満足してしまい、資料作成を終えてしまうことの何と多いことか。
これは私がペーペーの頃に師匠からOJTで横で実演していただきながら教わりました。
まず最初にコピー機から白紙を取り出し、コマ割りを考えて、そのコマ1コマずつ手書きでメッセージと図をペン(何回も書いては消すから、フリクションボールか鉛筆ですね)で書きながら考える。しっかり手書きでスライドのメッセージと図を考え切ったところで、はじめてPCを立ち上げてPowerPointに転記していく。そして、最後に見やすさ・美しさの観点で細かい色や大きさを修正する。
これは最初に身に付けるべき(=認識すべき)初歩的な段取りだと私は考えています。
スタンスを取れるようになって初めて一人前。
本文184ページ
コンサルだけでなく、それこそ人生も。
テーマ049「スタンスを取る VS ケースバイケース」に出てくる一節です。
私自身ちょっとは成長できたかもと思ったのが、クライアントから意見を求められたときにこの「スタンス」が取れるようになったときです。
例えば私事で恐縮ですが、先日クライアントから「弊社は、〇〇〇においてユーザー部門とシステム部門はこういう役割分担で案件をまわしているが、本来どのようにすべきか?」と問われたときに、「こうすべきです。理由は・・・」と前面にたって回答しました。
クライアントは私には会社としての見解を求めているので、思わず「ケースバイケースですね」と逃げたくなるのですが、腹をくくって「〇〇すべきです」といえるようになったら、ようやく一人前ということですね。
普段の生活でも「スタンス」が取れない(=優柔不断、曖昧)だとダメですよね。ある人の1日を取っても、そして我々の人生も、決断の連続なのに。間違ってもいからまずはスタンスを取って行動しないと、いつまで経っても検証ができないし、時間ばかり過ぎてしまいますから。
まずは「乾かす」を2方向で変化させます。
本文255ページ
①リアリティ、具体性、生々しさを排除していく
②断言度合いを下げていく
テーマ073「乾かす VS 乾かさない」の一節です。
私もクライアントの距離感や性格でメッセージを調節します。
いまいち距離感が掴めず、本音と建前を使い分けているクライアントの場合は「乾かす」。
親密度が高く、ストレートに伝えることを好むクライアントの場合はあえて「乾かさない」。
あとは、あえて議論を活発にするために意図的に調整することもあります。
相手の感情を揺さぶりたいときはあえてメッセージを「乾かさない」こともあります。
この「乾かす」「乾かさない」という言葉はメッセージの質を表現する言葉としてピッタリですね。気に入りました!今後さらに意識してメッセージを「乾かす」「乾かさない」は使っていきたいと思います。
言う通りに直せて2流。
本文306ページ
「趣味の世界ですね」と言えて1.5流。
無視しても褒められたら1流です。
テーマ091「趣味の世界ですよね VS なるほど、直します」の最後に書かれている部分です。
上司やマネージャーに指摘されたときの対応についての場合分けです。後者になればなるほど、事前に考えつくしていて、自分の成果物への自信度が高いと言えると思います。
出来のいい資料のレビューの場合、それでも上司やマネージャーも何か言わないとまずい空気になるので、つい思い付きベースで指摘してくることがあります。
その際に指摘を真に受けてしまうと、ここで言う「2流」の対応になってしまいます。
あえて突っぱねる勇気が出てきたら「1.5流」や「2流」の仲間入りができているのかもしれませんね。
本書は頭から読むのもいいのですが、時折 目次を見て気になるテーマを開いて再確認していくという使い方もできる本です。そういった意味でも、社会人におすすめの聖書(バイブル)的な1冊ではないでしょうか。そう、「一家に一冊」、いや、「一人に一冊」の本です!
BCGでマネージャーも経験したコンサルタントがコンサル思考を科学(=平易な言葉で表現)した本だよ。
コンサル思考はビジネスで使えるOSのようなものだから、身に付けておいて絶対に損はないはず。
まずは全体を一通り読んで、使えそうなテーマをいくつかピックアップしてみよう。そしてビジネスの現場で実際に使ってみて、自然と使えるレベルまで実践していこう!
そうすれば、ビジネスパーソンとしてのレベルは数段上がっているはず。
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- コンサル思考も心得も当然、「才能」ではなく「濃い技術」です。
- 「2度はできない」叱咤激励の1年目
(コンサル思考/お作法 VS コンサルタント;○○ VS ○○ ほか) - 「天狗になる」⇔「鼻をへし折られる」繰り返しの2年目
(HOWのインサイト VS WHATのインサイト;Goooooooooogleまで見切る VS 2ページまで見る ほか) - 「付加価値を付ける」真っ向勝負な3年目
(論点マネジメント VS TASKマネジメント;良いPMO VS 悪いPMO ほか) - 「一桁上の価値を出す」マネージャーに挑戦の4年目
(「構造」を相手に委ねる VS 「構造」を押し付ける;ランニングホームラン VS ホームラン ほか)
同じ著者の前作もレビューさせていただいていますので、よかったらお立ち寄りください!
追伸:
高松さんが100分程度でこの本を解説している動画がありますので、共有させていただきます!
また、読者からの質問に対して高松さんご本人が回答した16分程度の動画はこちらです。
高松智史さんの運営する「考えるエンジン講座 FOR ビジネス」「考えるエンジン講座 FOR コンサルタント」で今回のレビューを紹介していただきました。ありがとうございました!
コメント
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