今日の学びは「不都合な予言ばかり当たる日本のトップに頭のイカれたリーダーを選ぼう」
- 日本経済を復活させるには、その場しのぎで誰も触れようとしなかった「不都合な論点」に向き合う必要がある
【学びレベル】
こちらも前回に引き続き経営コンサルタントで有名な鈴木貴博さんの本です。(下の動画では著者本人のインタビューが見れます)
ダイヤモンドオンラインでも連載をお持ちで、毎週楽しく読ませていただいています。
それでは、鈴木さんがあげる魔改造10個をすべて見てみましょう!
移民によって日本の総人口を2040年に1億4000万人に増やす
本文50ページ
日本はこのまま2040年を迎えると、人口は約1億1,000万人と予測されています。その人口水準は1970年頃と同じらしいのですが、1970年に約7割だった生産年齢人口は2040年には5割強、つまり2人に1人は働かない超高齢化社会になってしまいます。そこを誰も踏み込んで議論しない、判断が後回しになっている論点だと筆者は語っています。
ただ、筆者は移民によって単純に人口を増やすのではなく、政府が「文化としても移民基準(保守的な日本人が受け入れられる最低線という基準)」を策定し、日本に入ってくる外国人に対して「こうしてほしい」という原理原則を主張していくことをあげています。
また一方で、移民に対して「日本で働く魅力」を与えるために、圧倒的な買い手市場となるほどのインセンティブを用意すべきと書いています。つまり、「日本のように住みやすく安全な国に永住できるチャンスがもらえるのであれば、日本のために頑張りたい」と思えるように、ビザ更新や永住権・日本国籍に付与といったインセンティブを用意するということを考えていくということです。
日本人だけでは人口を増やすことはできないとは思っていましたが、これには納得していまいました。
中央四国リニア新幹線を2030年代前半までに全面開業させる
本文77ページ
これは田中角栄の日本列島改造を彷彿とさせる魔改造ですが、実は重要な内容だと思います。
筆者は、東京-名古屋をJR東海が開発している間に、日本経済復活を加速するために名古屋-大阪間は国の予算で同時並行に完成させてしまおうという提案です。そして今の新幹線よりも安い料金に設定できるように国が安くJRに払い下げるというという内容です。
確かに、コロナ禍で国民に一律10万円ばらまいているお金があったら、このようなインフラを整えてしまった方が首都圏と地方をつなぐ人流が活発になりますし、地方の衰退も止めることができるかもしれません。私はこの案はありなのではないかと思っています。
日本はモビリティ経済を選択する。スマホよりも車をみんなが触りたくなる未来を創る
本文100ページ
筆者の主張は、日本の経済発展戦略はモビリティ経済に力点を置くべきと。また、日本経済が復活し成長する未来とは、人とモノが常に動き続け、たくさんの出会いからたくさんの機会が生まれ消費が広がる。どちらかを選ばないといけないとしたら、日本は(メタバースよりも)モビリティ経済を選ぶべきと。
私も筆者同様にメタバースにはときめきを感じません。他の人と出会って食事をして語らい、また出かけて買い物をし、週末や長期休暇に旅をする。そちらの方が断然ワクワクします。
100万人レベルの自由に使える詳細な個人情報ビッグデータを構築する
本文125ページ
人工知能開発のためにビッグデータとして提供する国民を国が100万人募るという案です。具体的なイメージは、年間5万円の報酬ですべての行動履歴が外部利用されることを許諾してくれる人を100万人、日本国が募集するといった内容です。
報酬目的に自ら募集するのであればデータを外部利用されるのは問題ないと思います。また、人は見ず、人工知能だけが見ることができる。分析結果を人工知能だけが見ることができる。分析結果を人工知能は差別には使わないと約束する。というルールなら、きっと日本発の人工知能も優秀になっていきそうですね。
自動運転車という破壊的イノベーションを促進する権限は日本車メーカーから国に移管し、完全自動運転車の事故補償制度も国が担当する
本文157ページ
これは自動運転車が発展するための制度面からの支援ということでしょう。自動運転車が人と運転する車と混在している状況ではなかなか推進も難しいでしょうから、国策として国が引き取って推進するのは理にかなっていると思います。
ゼロ金利の永久債で400兆円を資金調達し、日本経済復活の魔改造のために使う
本文178ページ
これこそ魔の一手だと思いました。この本に書かれている魔改造には必要な資金調達方法だと思います。
原子力発電所の再稼働と新規建設計画で未来の電力不足を乗り切る
本文206ページ
実は私も原子力発電は、日本の地球温暖化対策には必要な一手と考えています。現在稼働している1970年代の技術をベースにした原子力発電ではなく、現時点の技術を取込んだ原子力発電であれば、東日本大震災で起きたような事故も防げるのではないかと思います。
人工知能による社会信用システムを完成させ、それを元に日本的な移民社会制度を構築する
本文228ページ
日本の治安を維持するためにも、人工知能を活用するという案です。時代の流れからそういう方向には逆らえないと思いますし、逆に移民対策に活かすというのはありかもしれません。
400兆円の財源を元手に毎月10万円のベーシックインカム給付を2年間続けて日本経済を反転させる
本文252ページ
給付されたベーシックインカムを2年間という期間を明示して支給するのであれば、国民が貯金するよりも日々の生活の支払いに使ってくれて、よりその先の経済がまわっていくことは想像できます。お金の流れがさらなるお金の流れを生み、それが波及効果となって日本の経済全体を活性化させていく。
これは社会実験としてやってみる価値はあると思います!
頭がイカれた人を日本のトップに選ぶ
本文291ページ
頭がイカれた日本のトップと言ってすぐに浮かんだのは小泉元首相ですが、この本で上げているのは「統率力」よりも「洞察力」が優れたトップといったところでしょうか。
世界ではこれまで想像もできなかった戦争が起きる時代です。文通費といった細々とした議論に時間をかけるのではなく、本来向き合わないといけない論点に切り込んでいくトップを国民の民意で選べるような選挙制度も必要かもしれません。トップを似たような考え方を持った内輪で選んでいる限り、本来議論すべき論点は次世代に先送りされるだけなのかもしれません。
このままでは日本に不都合な予言がそのまま当たってしまう。
いま一度、日本の論点に向き合って、議論を活発に交わす必要があると思うよ。
そんな中で、議論に対して大胆な決断ができるリーダーが求められる。
日本の改革に必要なのは「スピードと規模」なんだ。
われわれ国民がジリ貧を当然だと受け止めず、反攻の狼煙をあげよう!
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第1章 日本が人口1億4000万人を目指す未来
「日本は少子高齢化が進む」という前提をひっくり返す/人口問題解決のカギは浜松市にある!?/日本に2000万人の移民を集める「切り札」とは?
第2章 リニア中央新幹線を博多まで延伸する
今こそ見直したい田中角栄「日本列島改造論」/四国にリニア新幹線を延伸せよ。しかも3本も/そして大阪が「日本経済のハブ」になる
第3章 メタバース大国か、それともモビリティ大国か
「モビリティ経済」で可能になるひと晩の冒険/「友達のいない50代」が幸せになれる未来
第4章 人工知能の育児環境を整える
日本の人工知能は「頭が悪くなる」という大問題/日本国民100万人の個人情報を入手する「魔改造」案
第5章 自動運転車の事故をどう裁く?
自動車業界にとっての「不都合な未来」/国の「宣言」により、ロボカー社会の到来は10年早まる
第6章 400兆円永久債発行計画
2022年の円安ドル高と物価上昇は必然/18世紀イギリスでも発行された「永久債」
第7章 脱化石燃料国家を完成するには?
世界をリードするEU。追随する中国/「グリーン資源」が圧倒的に足りない日本/ビル・ゲイツが原子力発電に力を入れている理由
第8章 IT監視社会を幸せな未来に
中国の消費者が積極的に個人情報を提供する理由/「良き日本人とは」をAIに委ねるという試み
第9章 ベーシックインカム全面導入
結局、最も貧乏くじを引いてきたのは誰なのか?/日本経済復活のカギは「法人税の魔改造」
第10章 頭のイカれたリーダーを選ぶ
ZOZO前澤氏は過小評価されている?/かつて存在した「日本のスティーブ・ジョブズ」の話/ツートップ体制こそが、21世紀型大企業の理想像
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