今日の学びは「視点を変えることで自分の後半生を最大化できる!」
- 人生も「図」という補助線を使って考えると、後半生の時間を最大化できる
- 目に見えない「感覚」を取り戻し、地に足を着けて生きていく旅こそが、後半生に求められている道である
【学びレベル】
コンサルティング業界では有名な平井孝志さんの最新本です。(下の動画に出演されています)
現在は、筑波大学大学院ビジネスサイエンス系教授に就任されています。
過去には「組織力を高める」「本質思考―MIT式課題設定&問題解決」「武器としての図で考える習慣―「抽象化思考」のレッスン」などの有名な本も執筆されていて、タイトルで思わず購入していまいました。
それでは気になった部分をチェックしてみましょう!
前半生=人生を構成していく時間
本文21ページ(1.ホロニック思考 部分と全体を同時に併せ持つ)
後半生=人生を統合し、味わう時間
だと言っていいでしょう。
前半生の要素還元主義から解放され、これまでの蓄積を土台に人生を味わいながら感じていく後半生。その合わせ技が、一つの生涯を形作るのだと思います。
本文23ページ(1.ホロニック思考 部分と全体を同時に併せ持つ)
全体は部分の総和以上であり、全体の属性は部分の属性より複雑。そんなホロニックな思考を持つことで、人生をとらえると後半生で何をすべきか見えてくる。そんなことを書かれているのだと思います。そういう意味では、後半生の主体は自分をある程度中心に据えてもいいのではないでしょうか。
前半生で私たちは、前へ前へと、常に進んできました。
本文27~28ページ(2.バックキャスティング思考 未来から今を捉え直す)
未来をフォアキャスト(予見)し、未来を創る努力をし、がむしゃらに頑張ってきました。ヘタをすると、その完成によって大事なものを見失っていたかもしれません。
そんな私たちには、もう一つの異なる視点が必要です。
それがバックキャスティング(未来からの投影)です。
自分の良い葬儀をイメージして、そうなるためにはどうしていくべきか。そんなバックキャスティング(未来からの投影)が例示として出されています。何を大切にすべきか、何に時間をさくべきか、立ち止まって考える機会を与えてくれるのがバックキャスティング思考ということですね。(社内研修でもこの思考が出てきました。2050年に実現できていそうなことから翻って考えるという説明でしたが、いい機会になった記憶があります。物事をとらえる幅を広げてくれる思考の1つです。)
41歳で未知の体験にいくつも挑戦すれば、1年が単なる41分の1ではなく、あらためて「1」に近づくような1年にできるかもしれません。
本文74ページ(7.ストラテジー思考 時間の配分と運用を)
つまり、1歳の赤ん坊のような気持ちで41歳の日々を生きてみるのです。
「ジャネーの法則」で「歳をとると未経験のことが減るから、その分、時間を短く感じる」というものがあるそうです。つまり、1歳のときに感じる時間の流れはそのまま1年分であり、2歳のときに感じた1年は2年間の人生の内の半分なので2分の1に感じる・・・。そういう風に計算すると、100歳まで生きるとしたら、人生全体の体感時間は、「1+1/2+1/3+・・・・+1/100」になるということです。
すると、40歳時点では人生の約83%、50歳時点では約87%が終了しているそうです。
要するに、後半生は前半生とイーブンではないということです。
41歳時の1年を41分の1とみなすと、「新鮮な体験は1歳と比べるとその程度」ということになります。そこで「1年ごとに新しい体験をして、新鮮な時間を生きる」ことで、生きる時間が増やせると教えてくれています。
新たなチャレンジが、生きる上でどれだけ大事かをこの式は表現していますね。
一週間に一回でも、一か月に一度でもいいです。これまでとは異なる何かを試してみるのです。普段に行かない街に足を延ばす。いつも降りない駅を降りてみる。初めてのレストランに入る。散らなかったジャンルの本を読んでみる。ボランティアに参加してみる。なんだっていいのです。
本文123ページ(11.エマージェンス思考 偶然を楽しむ力)
それらを感知し、捕捉し、変革する。
新しい未来が創発してくる可能性がそこから次第に広がります。
中期計画から年次計画に落とし、それをPDCA(Plan→Do→Check→Action)で回す。PDCAに偏重した私たちにとって、いつもより少し意識的にSST(Sensing(感知する)、Seizing(捕捉する)、Tranform(変革)する)の行動を起こしていけばいいと教えてくれています。
普段のPDCAで回す「プランニング思考」に、上記のSSTを少し意識した「エマージェンス思考」を加えることでより創造的で豊かな後半生を生きることができそうですね。
負の経験から、二つのことを学びました。
第一に、決して「立場」で仕事をしてはいけない、ということです。
仕事上の立場なんて、たまたまそのとき自分がそこにいるだけで、未来永劫続くわけがありません。また、その立場は自分に優位性を与えるからといって、決して自分が偉いわけではなく、そのポジションを用意している会社が凄いだけです。(中略)第二に、それゆえ誠実に生きるべきだということです。
行動の判断軸を、肩書や立場といった自分の「外」に依拠するのではなく、自分の「中」の人間性にこそ求めるべきです。(中略)失敗から得た教訓が、こうして後半生の準備運動になってくれます。後半生は、肩書や社会的地位が消えていく時間です。善く生きる。そのための時間なのです。
本文126ページ(12.セルフ・エフィカシー思考 身近な承認で留めていい)
会社における年功序列制度が崩壊し、ジョブ制度に置き換わっていく中で、年下の上司や年上の部下ということもあるでしょう。また、転職したら取引先の担当者が前職の上司・部下・同僚だったということもこれからあるかもしれません。
そういう状況の中で、他者に承認を求めすぎるのではなく、この「善く生きて、その上で自己実現をめざしていく」という感覚、「自己効力感(セルフ・エフィカシー)」という感覚も大事にしていこうということだと思います。
また、後半生における「承認」とは、身近なコミュニティーからの感謝になるのかもしれません。顔の見える人、気の置けない人からの「ありがとう」で十分満足できるようになたとき、人はもう一段成熟したと言えると私も思います。
自分の思考のクセを把握して、その逆方向にバイアスをかけ、適度な温度感、好い加減のモデレイトを目指してください。合言葉は「中庸、中庸、中庸、・・・」
本文140ページ(13.モデレイト思考 好い加減の尊さを知る)
「長短」でいえば、「長期(10~20年)」と「超短期(今日~明日)」の真ん中。
「正負」でいえば、「正(ポジティブ)」と「負(ネガティブ)」の真ん中。
そんな「モデレイト(適当、好い加減)」に捉える思考が後半生では大事ということのようです。
トレード・オン思考を鍛える手段は、次の三つです。
本文151~162ページ(14.トレード・オン思考 トレード・オフからトレード・オンへ)
①アウトプット先行化(アウトプットするためにインプットする)
②課題の抽象化(課題の抽象度を上げ、その本質を見極める)
③視野の拡大化(問題を見つめる視野の拡大化)
・モデレイト思考:
本文166ページ
中庸思考。程よい時間時間と程よい前向き感で物事をとらえる考え方。
・トレード・オン思考:
本質思考。二項対立的なトレード・オフではなく、相反することの両立を目指す考え方。
この本の中核的な思考がこの2つでした。前半生では極端に振れることは必要でしょうが、後半生では「中庸」「本質思考」を据えて生きると、よりよい充実した後半生が生きられそうです。
もう一つは、一歩踏み込む道(≠惰性の道)、再生の道です。待てよ、そもそも自分は、限りあるたった一度の人生を生きるユニークな存在だったはずだ・・・。そう思い直し、主観性を取り戻す旅を今一度始める挑戦の道です。
本文191ページ(17.サブジェクティブ思考 客観性を内包した主観性を)
著者は、記憶を味方にした強力な武器である「ライフチャート」で、人生の見える化をすることをすすめています。自分史における幸福度のアップダウンを記憶と共に可視化させるわけです。
そうすることによって、自分のこれからの道に意識的になれるというわけです。言い換えると、自分の進むべき道が自ずと見えてくるのが人生の見える化、すなわちライフチャートの力ということでしょう。
この本は自分の凝り固まった人生に対する考え方に新たな視点や気づきを与えてくれるよ!21個の思考のぞれぞれに対して図で解説してくれるから、頭にもすんなり入ってくる。
特に、ミドル世代のビジネスパーソンにはこれから迎える後半生の生き方のヒントになることは間違いないと思うよ!
また、20代のビジネスパーソンも読んで損はない。仕事やプライベートで壁にぶつかったときにこの本で紹介されている視点を持っておけば、先に進むヒントが見つかるからね。
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第1章 図解で後半生を捉え直す
ホロニック思考―部分と全体を同時に併せ持つ
バックキャスティング思考―未来から今を捉え直す ほか
第2章 図解で自己実現する
ストラテジー思考―時間の配分と運用を
パーソナル・アンカー思考―自分の強みこそ人生の針路 ほか
第3章 図解でより良い選択を導く
モデレイト思考―好い加減の尊さを知る
トレード・オン思考―トレード・オフからトレード・オンへ
第4章 図解で苦難を克服する
ナラティブ思考―正解を超えた物語的なアプローチ
ヒストリー思考―経路依存性から見出す自分自身 ほか
第5章 図解で幸せを考える
ヒア・アンド・ナウ思考―犬の道、「今、ここ」悟りの世界
ライク・ディスライク思考―自分に嘘をつく必要はない ほか
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