この本にあるのは「折れない心をつくり、理想の自分になるルール」
- 先の見えないことも、失敗も、変化もすべて受け入れ、前へ前へと進む力にする必要がある
- 変化に抵抗する自分を、変化に備える自分に変えられるか
【学びレベル】
1000 Awesome Thingsというブログの管理者でもあり、TEDの講演もされているベストセラー作家のニール・パスリチャさんの本。(すぐ下の動画で「Japanese」を選択すると、日本語字幕が出るようになります)
「折れない心をつくり、理想の自分になるルール」として9つのルールをまとめた本です。
ルール1 常に「続き」を考える ルール2 失敗と自分を切り離す ルール3 「今」だけを見ない ルール4 視点を変えて「恥」を手放す ルール5 時間と経験に投資する ルール6 悩みと後悔は心の外に出す ルール7 小さな場所で自信をつける ルール8 ノイズゼロの日をつくる ルール9 不要なこだわりを捨て、前に進む
それでは気になる箇所を見ていきましょう!
時には、自分にできる最善のことは、点々々(・・・)で続きを書き足せると学び、ただ前進し続けること ーそんな日もあるのだ。
本文27ページ
つらい状況の時に、人生の状況に屈し、「動かしようがない」「無理だ」「つらすぎる」と感じる物事の前に、ピリオドを受け入れることで抵抗をやめる。
この箇所はそういう状況になったとしても、ピリオドの先を見たいという願望を抱き続け、「句読点を変える」という静かな勇気を持つことと教えてくれている。言い換えると、点々々(・・・)でもいいから「続き」を書き足すということです。(ここでは、レジリエンスとは「ピリオドの向こう側にある自由意志に目を向けること」ということと言い換えられると思います)
そして自分の発言に「今のところはね」とつけ足して選択肢を広げ、広げたすべての選択肢に✕をつけず、続きを考え続ける。
この姿勢を持ち続けていくことが自分の人生の可能性を広げていくことになると言っているようです。
では、常に自分にスポットライトが当たっている気がしても、実際は違うのだとしたら、一体どうすればいいのだろうか?
答えはシンプルだ。スポットライトをずらせばいい。
覚えておいてほしい。あなたは自分にスポットライトが当たっていて、暗い客席にいるみんなが自分を見つめ、観察し、次の動きを待っている、と信じている。
でもそんなことはない。
(中略)
本文64~66ページ
失敗すると、みんなの視線が自分に向いている、と感じる。「全部自分のせいだ!」と考える。 (中略) そして、若ければ若いほどその傾向が強い。経験不足から、物事はたいてい最後にはなんとかなるものだ、と知らないからだ。
これは「自分の視点では自分が世界の中心にいるように考えてしまう(=スポットライト効果)けど、世間から見ると自分自身は世界の中心ではない」ということです。ですので、自分の失敗は自分が考えるほど世間は(まったくと言っていいほど)気にしていないわけです。
本書の他のページも書いてありましたが、「全部自分のせいだ」と思うなんて、実は自分本位なことと心に刻むべきなのです。
つまり、スポットライトは自分からずらし、失敗と自分自身を切り離す。この点がこの箇所のポイントだと思います。
第3の戦略は、「今起きていることは一つのステップだと考える」ことだ。
今経験中の失敗を、見えない階段の一段だと考えよう。その階段は、今はまだ創造もつかない「未来のあなたの人生」につながっている。
そうするためには、人生のプロセスを信頼し、自分自身を信頼し、自分が今までずっと大丈夫だったことを理解し、物事はたいてい喪失や挫折を経てまた軌道に乗るものだ、と信じていなくてはならない。
本文79ページ
「サイエンス」誌の調査結果の発表によると、被験者が何歳であれ、誰もが一様にこう信じているとのことでした。
「自分は過去には山ほどの変化を遂げたけれど、今後はほとんど変わらないだろう」と。つまり、誰もが「物事は今の状態のままずっと続いていく」と思っているようなのです。研究者たちはこれを「歴史の終わり幻想」と呼んだそうです。
この調査結果は「人はささいなことを大惨事ととらえやすい」と教えてくれていると思います。
なので、どんな出来事があっても、それを一つのステップ(=人生で経験するあらゆることは、実はさらによい場所に到達するためのステップ)と考えることが必要ですね。
追伸:
一方で仏教には「今を生きる」という考え方もあります。これは、「私たちは過ぎたことをいつまでも悔やみ、まだ来ぬ未来は取り越し苦労でもやもやと心配しがち。今に生きていない場合がある。逆境が来れば『仕方ない、蒔いた種なら生えるもの』と受け止めるしかなく、問題は今からの行動。」という教えです。仏教では、「今」に生きることができない人はいつまでも幸せになれないと説いています。
視点を切り替える3つの質問
本文126~130ページ
- これは死ぬときに重要なことか? (=Noであれば大したことがない)
- これは自分で何とかできることか? (=Noであれば自分の責任ではなくなる)
- これは自分が自分自身に語っているストーリーなのでは? (=Yesであれば事実ではなく、自分が事実にくっつけた妄想)
つらい状況の時にこの3つの質問をすることで視点を切り替えていきましょう。
質問1.は「やばいと思っていることのほとんどのことは大したことがないこと」ということが見えてくる質問です。例えば、10万円の財布を落としてしまった時に「もう人生は終わりだ・・・」とその直後に思ったとしても、質問1.で考えると立ち直れそうです。
質問2.は「この状況は自分で変えられる範囲はそもそもあるのか」が見えてくる質問です。例えば、経済状況が悪化してクライアントの予算が確保できず、プロジェクト案件が継続できない場合、それはいくらコンサルタントの自分が頑張ったところで難しい面があるかもしれません。この質問を投げかけることで、自分でどうしようもないことをくよくよ悩んで、時間を無駄にしても仕方ないと割り切れます。結果的に、視点を変えることで自分に語るストーリーを変えることができるはずです。
質問3.は「たいてい僕らは事実にストーリーをくっつけていて、しかも、そのことに気づいていない」ということに気づかせてくれる質問です。「私は大学の試験でしくじった」と、「私の両親の期待を裏切った」とは、くっつけてストーリーとして考えがちですが、それぞれ別の話だというわけです。(=自分で勝手につなぎあわせてストーリーに仕立て上げている)
困った状況になったら、この3つの質問を思い出して視点を切り替え、一歩前に踏み出せそうですね。
誰よりも多く勝った男が、なぜ誰よりも多く負けているのだろう?
誰よりも多く三振を奪った男が、なぜ誰より多くフォアボールを与えたのだろう?単純な話だ。
誰より対戦したからだ。
誰よりも負けながら、誰よりも挑戦したからだ。大事なのは、何本ホームランを打つかではない。
本文150~151ページ
何回バッターボックスに立つかだ。
打席に立った回数が増えれば、勝ち星も積みあがっていく。
もっと勝つために、もっと負けよう。
失敗のおかげで成長したことを認めれば、成長に気づいて、感謝できるだろう。
本文164ページ
10年間無償でやろう。
もっと黒星を喫しよう。
もっとたくさん写真を撮ろう。
そして、それについて話そう。
もっと勝つために、もっと負けよう。
上の2つの引用は、ルール5の「時間と経験に投資する」の説明に書かれていたものです。
時間をかけることと、それによる経験値の大切さを実感できる内容でした。
誰よりも健康で幸せな人たちは、自分で抱えている後悔の念に気づいたら、手放すことを選んでいる。
でも、どうやって手放せばいいのだろう?では、「2分間の朝の習慣」を紹介しよう。
毎朝、僕はカードか日記帳を手に取り、次の3つの文章を簡潔させる。私は・・・・・を手放します。
私は・・・・・に感謝します。
私は・・・に集中します。
(中略)
3つの簡単な文章を簡潔させることが、「素晴らしい朝を過ごす」助けになり、ひいては「素晴らしい一日を過ごす」力になる。
本文185~186ページ
著者が紹介している「2分間の朝の習慣」は、毎朝書き出すことで、前日までのストレスを手放し、感謝することでポジティブな気持ちになり、集中すべきことを朝一番で意識することで目標達成に近づくことができるルーティンです。(一番下のYouTube動画では、著者自身がその習慣を説明しています)
人は日々決断の連続に迫られています。普通の身体の疲れとは違う「決断疲れ」という言葉もあるくらいです。疲れている自覚がないのに、心のエネルギーが落ちてしまう状態です。
そのような状況を解き放つためにこの3つの文章作成は役に立ちそうです。
理想の自分に到達するための方法の1つは、周りのすべてが放つ雑音をオフにする力を習得することだ。
(中略)
僕らは、スペースを見つける必要がある。逃げ込めるスペースを。心を整理できるスペースを。じっくり考えることのできるスペースを。(中略)どうやって?
本文216~217ページ
「手出しできない(アンタッチャブルな)日」を設けることで。
「アンタッチャブルな日」とは、「どんな方法を使おうと、どこの誰であろうと、絶対に僕をつかまえることはできない日」のことらしいです。そうでもしないと集中できないと。
この日を設けることで「深くクリエイティブな仕事」ができ、一方で行き詰ったときに気分転換・運動・瞑想などを入れて「小さな元気の素」とすることができるとのこと。
私が実践している例ですが、(クライアント先に常駐していたとしても)集中したいときは意図的に会議室を予約して「アンタッチャブルな時間」を作るようにしています。また、自宅ではリビングで家族と会話することももちろん大事ですが、集中もしくはリラックスしたいときはリビングを離れ、自分の部屋にこもることです。
まずはいきなり「アンタッチャブルな日」を設定することはハードルが高いかもしれませんので、「アンタッチャブルな時間(≠日)」をこまめに設定することから始めて、その効果を実感するのがいいと思います。(著者は「アンタッチャブルな日」を週2で入れてるとのこと・・・)
それは、理想の自分への道中で思い出すべき最後の戦略だ。
本文252ページ
僕らはいつだって前にしか進めない。
だから大事なことは、ただ歩み始めること。
そして、絶対に、絶対に立ち止まらないことだ。
ルール9の「不要なこだわりを捨て、前に進む」に書かれている最後の部分です。
小見出しに「シンプルに決断する」「『最高の選択』は存在しない」「すべてのつながりはチャンスだ」とあるように、立ち止まらず前へ進むということをいろいろな視点で書かれています。
著者がこの本で説明してくれた「9つのルール」を定期的に振り返り、失敗や変化を受け入れ、私たちもそれぞれ自分の道を前へ前へ進んでいきましょう!
心を折ることもなく理想の自分に近づける。そのためのルールを9つの形で提示してくれているよ。自分の考え方を少し変えれば、行き止まりと思った状況から抜け出し前進することができるんじゃないかな。分かりやすい例えが多く、理解しながら読めるんだ。もし、今の状況で行き詰ったり思い悩んでいるとしたら、この本を読むときっかけや手がかりがつかめると思うよ!
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ルール1 常に「続き」を考える
ルール2 失敗と自分を切り離す
ルール3 「今」だけを見ない
ルール4 視点を変えて「恥」を手放す
ルール5 時間と経験に投資する
ルール6 悩みと後悔は心の外に出す
ルール7 小さな場所で自信をつける
ルール8 ノイズゼロの日をつくる
ルール9 不要なこだわりを捨て、前に進む
追伸:
ハーバードビジネスレビューのYouTubeチャネルには、著者が本書で紹介していた習慣「この2分間の朝の練習はあなたの一日をより良くします」があります。興味があればこちらもぜひご視聴ください。(「設定」から字幕で「英語(自動生成)」を一回選択し、再び字幕から「自動翻訳」を選択し「日本語」を選択すると、「日本語字幕」を表示できます)
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